今回は、おススメの歩行評価について解説していきます。
一般的に歩行評価といえば、何が思いつくでしょうか?
目的によってその答えは変わりますが、10m歩行や6分間歩行、TUG等が代表的だと考えられます。
また、BBSや片脚立位保持検査といった、歩行と直結しない評価で、歩行自立度を判定することも多々あるかと思います。
ですが、これらの評価は全て共通点があります。
何か?それは、全て【意識下】であるということ。
BBSや片脚立位では、転倒しないことを一番に考え、気を張りながら評価に挑まれます。
TUGにしても、本来の日常での歩行とは似て非なる者ですよね。
ストップウォッチを持ち、3m先で回ってください何て言えば誰でも意識しちゃうものだと思います。
私見ですが、ADLの移動手段として歩行を用いる時は、無意識下であることが非常に多い印象です。同居家族に呼ばれて急いで歩く時に、一歩一歩意識することは難しいですし、物を持って数m歩くことなんて日常茶飯事です。
よって、意識下だけの評価をしても、自立度判定としては大切な部分が損なわれていると考えています。
グダグダと前置きしてますが、日常の歩行と同様の【無意識下】での歩行評価を推奨しているので、今回はSWWTという方法をご紹介します。
SWWT
(Stops walking when talking’ test:以下SWWT)は、歩行中に質問をした時の反応で、二重課題下での認知機能面を評価するテストです。

以下、実施上のポイント↓
・歩行は自由歩行で行う。※普段通りの歩行速度
・質問で立ち止るかを評価している事を事前に伝えない
・質問は歩行開始して2m以上進んでから行う
・質問に対しての返答の正確性は問わない。あくまで【歩行が停止するか・継続できるか】を評価する。
※質問に対して返答せず、歩行を継続してしまう場合は【歩行停止】と評価する。
これらポイントに注意し実施する。肝心の質問内容であるが、難易度別に分けて評価する事も重要。
➀天気や体調
②意味記憶(知識や情報の記憶)
③エピソード記憶(前日の食事などの、個人が経験した出来事に関する記憶)
これらの種類がありますが、難易度としてはエピソード記憶が高いと考えられます。
エピソード記憶に基づく質問は,他の声かけより も歩行停止を生じやすく,歩行時の二重課題として, より有効な刺激になることがわかった(1)
被験者の認知度に合わせ、これらの質問から選択する事が臨床的ですね。
また、臨床では二重課題下のアプローチとしても有用です。
普段の歩行練習に、意味記憶を負荷したり、エピソード記憶を想起させるようなアプローチも効果的かもしれません。
筆者の臨床では、意識下での歩行練習では独歩自立レベルでありますが、エピソード記憶を想起しながら歩行するだけで、歩行速度の低下やふらつきが発生するケースによく遭遇します。
理学療法士や作業療法士の方は、是非お試しください!
SWWTについて詳細を知りたい方は、参考文献を是非ご覧ください。
全文フリーです(^-^)
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参考文献
(1) 井上和章:脳卒中片麻痺者の自立歩行能力判定 ─バランス評価スケールと歩行時の二重課題を組み合わせて─.理学療法科学25(3):323–328,2010.