今回は、学生時代から多用することの多い横歩きについて解説していきます。
なんとなく平行棒で横歩きをしたり、自主練習で指導したりしていませんか?
当たり障りない印象のある横歩きですが、実は多く研究されており臨床に繋がるものも数多くあります。
これを応用しない手はないので、厳選してお伝えしていきます。
横歩きの姿勢
まずは、何と言っても姿勢の話が第一ポイントです。
※後述する各姿勢で実際に横歩きをしてみて、体感してみてください。
体幹を前傾位かつ膝関節伸展位―股関節外転筋〇、膝伸展筋×
この姿勢の特徴は、股関節外転筋への負荷はあるが、大腿四頭筋への負荷がまるでありません。この姿勢で荷重が加わると、大腿骨と脛骨の骨性ロックがかかります。膝周囲に負荷を加えたいのであれば、この方法はNG。後は、反張膝の方には反張を助長するためおススメしません。
体幹を後傾位―殿筋群×、膝伸展筋〇
この姿勢の特徴は、大腿四頭筋への負荷はあるが、大殿筋への負荷がまるでありません。膝を屈曲位にすることで、より大腿四頭筋への負荷が強まるので、大腿四頭筋狙いであれば+膝屈曲を加えましょう。
体幹を同側側屈―股関節外転筋×
この姿勢の特徴は、股関節外転筋への負荷が弱まってしまいます。
これは横歩きの立脚初期に、立脚側に体幹を側屈する姿勢ですが、無意識的にこの姿勢になっている高齢者も多いですね。
デュシャンヌ徴候のようなイメージをしてください。体幹を股関節上に乗せると、股関節への負荷が軽減するので、外転筋狙いでする横歩きでは最も注意すべき代償動作といえます。
番外編「先導脚の股関節外旋」
横歩きあるあるとして、最も多いのはこれではないでしょうか?
進行方向に垂直に足を配置し、股関節外転で歩行するのが横歩き。ですが、先導脚の股関節を外旋位にし通常歩行に近い形で「横歩きをしているつもり」になっている肢位。
これでは股関節外転筋への負荷も軽減してしまいます。横歩きはどうしても速度が遅くなり、先を急ぐあまりこの代償が出現しやすい。足部は進行方向と垂直に!と指導するのもポイントです。
横歩きの速度
速度も非常に重要です。速度が速くなると、姿勢への意識も低下してしまうことが多いです。そのため、意識しやすい目的で低速度とします。また、立脚時間を長くすることで、中殿筋への負荷も長くすることも可能です。
横歩きの方向
例えば、右股関節を強化したい時にどちらの方向に横歩きをしますか?
右方向に行くとすると、右下肢は➀振り出すための外転運動(遊脚)と②左足を揃えるための求心性収縮(立脚)が生じます。
左方向に行くとすると、右下肢は➀左下肢を振り出す時の支持脚となります。(立脚)
ではどちらか?単純により大きな筋活動で考えるなら、後脚EMGのほうが前脚EMGより高い傾向にある。(1)と報告されているので左方向が正解です。
ただ、姿勢が崩れやすかったり、代償が出やすいのであれば逆方向を試すのもありですね。
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引用文献
(1)櫻井 宏明:横歩きの筋電図学的解析 平地とトレッドミル横歩きについて.総合リハビリテーション,33巻1号,(2005年1月)