転倒は、療法士ならよく評価することが多いと思います。
病院内の自立度判定、退院後の歩行補助具の選定にもよく使われます。
では、3つのテストについておさらいします。
片脚立位
簡単で時間も取らない評価といえばこれ。
片脚立位保持ですね。
これも、カットオフは色々と言われていますが、
転倒ハイリスクなのは5秒以下だとされています。(1)
臨床的にも、5秒以上保持出来る方は、移動能力も安定しているケースが多い印象です。
片脚立位をするだけでいいので、簡単なのは簡単ですが、少し留意点があります。
それは、
両手を腰に当てて、5㎝浮かす
ってところですね。10㎝も、20cmも上げちゃう方がいますが、しなくてOKですよ~。
ただ、この方法がネックとなる場合もありまして。
それは片脚立位保持の中止基準です。要は、タイマーをストップする基準ですね。
・支持脚がずれた時
・腰から手がずれた時
・挙上脚が支持脚に触れた時
以上三つが、タイマーストップの基準になります。これらを守り、測定していきましょう。
BBS(Berg balance scale)
56点満点で、静的バランスから動的バランス、筋力までを担保している評価バッテリー。
その気になるカットオフは・・・
・45点以下では複数回の転倒発生率が高くなる。(3)
・36点以下では、更に転倒危険性が高くなる。(2)
この2つを指標にしましょう。
ただ、BBSにも、問題点としてよく取り上げられるポイントがあります。
それは、【天井効果がある】というところ。つまり、満点を取りやすいって事です。
個人的には、後半の評価項目は、後期高齢者で何らかの疾患を有していると減点されやすいとは思ってますがヽ(^。^)
Mini-BESTest
この評価は、聞きなれない方もいるかと思います。
バランスシステムの特性に基づき、
・姿勢変化ー予測的姿勢制御
・反応的姿勢制御
・感覚機能
・歩行安定性
この4セクションから抽出した14項目で、0~2点の28点満点で構成されています。
気になるカットオフは、19点とされています。(4)
この評価のポイントは、難易度が比較的高い。というところですね。
不安定なフォームラバー上での課題や、ステップ反応を誘発するような、かなりリスキーな項目もあります。
よって、BBSと比較すると天井効果が認められにくいのが利点です。
BBSでは満点近く取った!だが不安定性はある!
そんな方にお勧めの評価ですね(^_^)
まとめ
今回のまとめ。
・片脚立位保持
5秒以下で転倒ハイリスク!
簡便だが、中止基準はあまり知られていないので、注意する必要あり!
・BBS
45点以下は複数回の転倒リスクが高まる。
36点以下は更に転倒リスクが高まる。
有名な方法であり導入しやすいが、天井効果があるのでレベルが高い方には不十分な可能性あり。。。
Mini-BesTest
・19点がカットオフ。
聞きなれない評価ではあるが、難易度が高い分BBSで評価しきれない方に適応する可能性が高い。
姿勢反射を見れるので、おすすめ!
ぜひ、明日からの臨床で、活用してみてくださいね(^_^)
では!
文献
(1)Vellas BJ, Wayne SJ, Romero L, et al.: One-leg balance is an important predictor of
injurious falls in older persons. J Am Geriatr Soc 45: 735-738, 1997.
(2)Shumway-Cook A, Baldwin M, Polissar NL, et al.: Predicting the probability for
falls in community-dwelling older adults. Phys Ther 77: 812-819, 1997
(3)Berg K, Wood-Dauphinée S, Williams JI, et al.: Measuring balance in the elderly:
preliminary development of an instrument. Physiother Can 41: 304-311, 1989.
(4)大高恵莉:日本語版Mini-Balance Evaluation Systems Test
(Mini-BESTest)の妥当性の検討 .Jpn J Rehabil Med 2014 ; 51 : 673.681